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アイドルネッサンスを好きになったのに、もう解散してた件

プロフィール

グループ名:アイドルネッサンス

メンバー

宮本茉凜
原田珠々華
百岡古宵
石野理子
南端まいな
比嘉奈菜子
野本ゆめか
新井乃亜

通称:アイルネ


遅すぎた出会い

アイドルネッサンスは2018年2月24日、すでに解散してしまっている。

ではなぜ今更ブログを書くのか?

今更ハマってしまったからだ。

つい最近まで「アイドルネッサンス」を知らなかった。

と言っても「アイドルネッサンス」というグループ名は活動中の当時にもちろん知っていた。アイドル界隈でも名前はよくあがっていたし、SNSでもよく見る名前だった。
ただ当時の僕は聴きに行こうとしなかった。「アイドルネッサンス」が解散した今、とても後悔している。

赤い公園からアイドルネッサンスを聴こうと思った。赤い公園は元々知っていて、2017年にボーカルの佐藤千明が脱退すると聞いた時は正直かなり驚いた。
いくら作詞作曲がボーカルではなく津野米咲だと言っても、ボーカルは「バンドの顔」といってもいい存在、バンドの色自体が変わってしまうのではないかと危機感を覚えた。

そして、佐藤千明の後を継いだのが解散したばかりのアイドルネッサンス石野理子だった。

youtu.be

以前の赤い公園とは全く違った色になっていた。圧倒的な歌唱力を引き立たせるようなメロディー、激しいロックサウンド、「消えない」というタイトル。

「ボーカルを失ったバンド」と「グループを失ったボーカル」の覚悟のぶつかり合いの曲だった。

いつの間にか彼女の魅力に引き込まれていた。そして、石野理子を調べていくうちにたどり着いたのが「アイドルネッサンス」だった。

鮮烈な先制攻撃

とりあえずなんでもいいからアイドルネッサンスに触れてみたいと、サブスクでベストアルバムをダウンロードし聴いた。

その1曲目が彼女たちのデビュー曲「17才」だった。

youtu.be

歌唱力がデビューから『フル装備』すぎる。
いきなり【ロトのつるぎ】持ってるじゃん。

爽やかなメロディーに乗った、あどけなさが残りつつも軸がしっかりとしている、透き通った10代の彼女たちの歌声に衝撃を受けた。メンバー全員が上手すぎた。アイドルなんだからもうちょっと下手でもいいんだよ。

アイドルネッサンスはアイドル界ではかなり特殊なコンセプトで「古今の名曲を独自の歌とダンスで表現する“名曲ルネッサンス”をテーマに活動」という『カバーソング限定アイドル』として誕生した。

この「17才」もBase Ball Bearの楽曲だ。

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原曲に比べアイドルネッサンス版の「17才」はキーが上がったりストリングスがはいったりかなりアイドルソングにアレンジされている。しかし重要なのはそこではない。

現役の10代が唄うことによって加えられた「甘酸っぱさ」が曲の良さを引き出している。これが【名曲ルネッサンス】の醍醐味だと思う。
アイドルというジャンルの中に「年齢」という一つの武器があるのだと強く感じた。

「17才」で先制攻撃を受けた僕は、あっという間にベストアルバムを聴き終えていた。

アイドルネッサンスが唄うカバー曲は新旧問わず、ジャンル問わず様々なアーティストの曲を唄っている。選曲自体は少しアイドルにとっては背伸びしたような楽曲も、自分たちの色に変えて等身大のまま唄うことができている。完全にカバーでありながら、彼女たちにしか唄えないオリジナルソングに昇華していた。


特に注目したのは、大江千里「夏の決心」のカバー

歌詞の中に「下駄」や「カセット」といった世代的には全くと言っていいほど違ったフレーズが入っている。そういった曲を現代の女の子たちが唄うことによって、新鮮な曲として聞こえてくる。

アイドルのフィルターを通すことによって、そのバラバラな個性のある曲たちに原曲と違った爽やかさを生み出すことができている。


最初で最後のオリジナル

彼女たちの初のオリジナルソングが結果的にはラストシングルになった。

全4曲のうち全てが、立ち上げから関わっていたBase Ball Bear小出祐介の書き下ろし。

youtu.be

サビから曲が始まる。

決まらない前髪を
また風が乱してゆく
いつまでも私たちきっと
決まることなんてないんだろう

一瞬で心を掴まれるフレーズ。10代の少女たちが唄うからこそ生まれるリアリティのある歌詞が、切ないメロディに乗って感情に直接しみ込んでくる。抽象的な青春ではなく、具体的な乙女の青春が5分間に詰め込まれている。

MVの最後は1本の線香花火がポトリと落ちるシーン。すぐに消えてしまう鮮やかな光が見事に青春を表している。そして無情にもそれはアイドルとしての青春も表しているようにも思う。

決まらない前髪を
また風が乱してゆく
いつまでも私たちきっと
とどまることなんてないまま
走ろう 風の中を

解散してしまったが、メンバーは新たな活動を続けている(*1)。まだまだ彼女たちの「青春」は終わっていない。

(*1)
石野理子   赤い公園のボーカル
野本 ゆめか WACK所属のアイドルグループ「CARRY LOOSE」のメンバー
百岡 古宵  アイドルグループ「開歌-かいか-」のメンバー
南端 まいな ソロ活動
原田 珠々華 ソロ活動

アイドルネッサンスに心を掴まれた

音楽はそのアーティストが引退していようが、解散していようが、曲として出会いの可能性を残してくれている。

解散していたアイドルネッサンスとの出会いは、いきなり胸ぐらを掴まれて目の前に音楽を突き付けられた。
そんな衝撃的なものだった。

しかし、次第にその音楽が優しく包んでくれ、いつしか心に染み入ってきた。

そして僕は、アイドルネッサンスに心を掴まれた。

(文:つちへん)

【記事内での歌詞の引用】

アーティスト名:アイドルネッサンス
タイトル:前髪
作詞・作曲:小出祐介

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