プロフィール
名前:照井順政
所属バンド:ハイスイノナサ・siraph
楽曲プロデュース:sora tob sakana
前書き
4月21日に発売されたアニメ『呪術廻戦』のオリジナル・サウンドトラック。
OP、EDテーマを除く第1、第2クールで使用された劇伴(劇中で流れる伴奏)が60曲も収録されており、大ボリュームの内容となっている。
アニメ『呪術廻戦』の音楽を担当しているのは、
の3人。
3原作の世界観にあった音楽を制作し、曲を聴いただけでシーンが想起できるような楽曲ばかりだ。
その3人の中で、自分は照井順政が大好きである。
元々、ポストロックが好きな自分にとって照井順政は簡単に表現すれば「神」のような存在で、照井が音楽プロデューサーを務めたsora tob sakanaも初期から応援していた。
なんなら、この『呪術廻戦』を見始めたきっかけも照井が音楽を担当しているからという理由である。
それほど好きで、アニメを見ながら「この曲は照井順政っぽいな」などと思いながら見ていた。
サウンドトラックが発売されると、照井順政を中心に聴き始めた。
照井が担当した楽曲は全8曲。
プレイリストを作り繰り返し聴いているとこんなことを思った。
「シャァァァ」多くない?
これまでsora tob sakanaやハイスイノナサを聴いたときには思わなかったが、照井の楽曲には「シャァァァ」という音が頻繁に使われていることに気づいた。
今回はその「シャァァァ」について分析していこうと思う。
「シャァァァ」の正体
先ほどから「シャァァァ」とばかり言っているが、それは実際どんな音なのか聴いていただきたい。
0:20~0:22のこの音。
シンバルがどんどん強くなっていくような音で、「シャァァァ」以外にも「スゥィィィ」や「サァァァ」など人によって様々な擬音の表し方があると思う。
sora tob sakanaで言えば『発見』が分かりやすいだろう。
0:34~0:35のこの音。
基本的には1曲の中に複数回使用されており、1度だけというのは珍しい。
では、この「シャァァァ」という音は一体何なのか。
それは【リバースシンバル】だ。
クラッシュシンバルの音を逆再生することによって徐々に音が大きくなり、最後は完全なミュートになる。
DTM(デスクトップミュージック)で作られる、使われる音だ。
音はシンバルロールと似ているが、シンバルをスティック(マレット)で叩く音が無いため、綺麗なクレッシェンドになっている。
この【リバースシンバル】にはどのような効果があるのだろうか?
リバースシンバルのメリット
この【リバースシンバル】のメリットは楽曲にメリハリが生まれるということだ。
基本的に、【リバースシンバル】が使われるタイミングはメロディーが変わる時や小節の終わりである。
sora tob sakanaの『knock!knock!』は曲中で16回も使用されていて、曲中のメロディの切り替わりが分かりやすい。
このように多用する場合もあるが、ここぞという場面に使うことによって、印象付けることができる。
イントロの終わり、Aメロ、Bメロの終わり、サビの終わり、楽曲の終わり...
盛り上がる場面に【リバースシンバル】を入れることで、抑揚や緩急が付き、楽曲が平坦にならず立体感が生まれる。
曲にメリハリをつけるにはもってこいの音なのだ。
まとめ
ここまで【リバースシンバル】ばかりを紹介しすぎて、照井順政=リバースシンバル"だけが"武器というイメージになっているかもしれないが、もちろんそれだけではない。
”楽曲派アイドル”を育て上げた難解な音楽センス
世界観を作りあげる作詞能力
と確かな実力があり、今回はたまたま【リバースシンバル】に着目しただけである。
実は、この得体のしれない「シャァァァ」が気になりすぎて、照井順政の楽曲を聴きまくって、どれくらい【リバースシンバル】が使われているかを調査した。
(調べただけの記事です)
呪術廻戦のサントラに関しては8曲中6曲も使われており、全体の4分の3も使っている。
以下、照井順政の作曲リスト(太字が使用されている曲)
- 千年の呪い
- 迫る危険
- 呪骸の攻撃
- 平等に与えられている不平等な現実
- 呪術師・伏黒恵
- 時間外労働
- 生い立ち
- 不義遊戯
アニメの劇伴なので、動画を引き立たせるかつインパクトのある音楽が必要不可欠だ。
照井順政の武器の一つである【リバースシンバル】が遺憾なく発揮されている。
自分のように必要以上に注目する必要はないが、たまに意識すると効果的使われていることが分かる。
違ったアプローチで楽しみたい方は、おすすめだ。
(文:つちへん)
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