*2020年7月に別サイトで公開していた記事を再掲載しています。
プロフィール
コンビ名:メンバー
所属事務所:吉本興業
結成:2006年
受賞歴
2017年 第38回今宮子供えびすマンザイ新人コンクール 新人漫才奨励賞
2018年 第6回歌ネタ王決定戦 優勝
東京03の『正解』
先日、東京03が開催したリモート単独公演「隔たってるね。」を題材に、リモートネタに関しての記事を書いた。
『隔たってるね。』は全編zoomでのリアルタイム配信。
新作リモートコント4本に加え、OP・幕間映像・EDも用意され大きな話題となった。多くの芸人やテレビ関係者がSNSにコメントを寄せる中、TBSの藤井健太郎のツイートが目に留まった。
東京03リモート単独公演「隔たってるね。」凄かった。リモートでのコントの完成形というか答えをちゃんと出しちゃってる感じ、流石すぎる。リアルタイムで見たかったなー。https://t.co/bpaE6fGAua
— 藤井健太郎 (@kentaro_fujii) 2020年5月27日
「リモートでのコントの完成形というか答えをちゃんと出しちゃってる感じ、流石すぎる。」
リモートネタの完成形、いわゆる『正解』を出したと言っている。
たしかに自分もこの期間で披露されたリモートネタの中では面白さ、完成度ともに『正解』に値するコントだったと思う。
ただリモートネタには種類が二つある。
一つは、主にZoomなどのテレビ会議アプリを利用して別の場所にいながらリアルタイムでネタを行うタイプのリモートネタ。
今回の東京03を始め、ジャルジャルやレインボーなど多くの芸人がこの形を採用している。
利点はリアルタイムで行えるためライブ感があるというところ。
ただし通信環境が悪いと画質や音声が荒くなったり、途切れたりしてしまうデメリットもある。
もう一つの“リモートネタ”は完全に別撮りの映像を編集して一つの動画にするタイプのリモートネタ。
利点は画質や音声が通常のカメラのものなのでクリーンであるというところ。ただし、3、4分ネタをやろうとするとズレが生じてしまう。そのためショートネタに使われやすい。
リモートネタとはこのように一長一短だ。
そんな中、後者の手法でなおかつ漫才をそのまま披露し面白さ、完成度ともに『正解』に値するネタを生み出したコンビがいた。
それがメンバーだった。
歌ネタだからできたこと
メンバーが今年の5月末に自身のYouTubeチャンネルにアップした「テレビ」というタイトルの漫才。
このネタは「+music」(MBS)という音楽バラエティ番組の企画で一度見たことがあり、サビの「知らないおじさんがニコニコしている番組」という中毒性のあるフレーズがたまらなく好きで、何回も繰り返しに見るほど好きだった。
そのネタがリモートネタとして完成させられていた。
一般的な歌ネタはどぶろっくやラニーノーズのようにギターを弾いてメロディをつける歌ネタや、8.6秒バズーカやオリエンタルラジオのように音源もなくただリズムに乗せるリズムネタの2つのパターンが主流である。
ただ、この2つのパターンがリモートネタをするとなっても、音源ではないのでどうしてもリズムがずれてしまう場面が出てくるだろう。
しかし、メンバーは山口が作曲した出囃子(曲)に合わせながら漫才をする歌ネタを得意としているのでズレようがない。きっちりとパートが決められていて聞き取りやすいのも魅力だ。
さらに、このネタでは「チャンネルを変える」「テレビを消す」シーンでは編集を用いているなどリモートネタならではの仕掛けも存在する。
Bluetoothのイヤホンなのでそこまで気にならないし、背景も統一感がある。他のリモートネタと比べても条件や細かいこだわりの面では『正解』を出している。
歌ネタだからできたこと
この可能性に衝撃を受けた。
リモートネタと歌ネタ
先日、「探シタラTV」(テレビ朝日)で「新たなリズムネタスターを探す」企画が放送された。フースーヤやAマッソなどリズムネタに縁がなさそうな芸人も参加する中、やはりメンバーのネタはクオリティが高かったように思う。生活感も出ておらず、しっかりとした"リモートネタ"だった。
リモートネタ×歌ネタ
この相性は非常にいいものではないだろうか?
(文:つちへん)