*2020年6月に別サイトで公開した記事を再掲載しています。
プロフィール
グループ名:東京03
結成:2003年
所属事務所:プロダクション人力舎
東京03『隔たってるね。』
5月27日に、プロダクション人力舎に所属するお笑いトリオ:東京03が自身のYouTubeチャンネルにてリモート単独公演『隔たってるね。』を配信した。
全編Zoomで行われた『隔たってるね。』では新作のリモートコント4本に加え、従来の単独ライブと同じくオープニングやエンディング、幕間映像も用意され、準備期間わずか1週間ながらもその高い完成度から大きな話題となった。
公演内容
リモートコント①「炙り出し」
...主題歌「隔たろう」
リモートコント②「リモート会議」
...国際リモート選手権
リモートコント③「取り乱す」
...ロリータ戦士・絵描き歌
リモートコント④「妻がいない」
...エンディングテーマ「今日はよかった」
”リモートネタ”の需要増加
現在、新型コロナウイルスの影響により“リモートネタ”を行う芸人が増えている。
既に吉本興業所属のお笑いコンビであるジャルジャルは代表作の漫才やコントをリモートで披露したり、レインボーは『オンライン飲み会』ならではの男女のあるあるを上手く取り入れ、自身のYouTubeチャンネルで“リモートネタ”を数多く配信している。
再生回数も緊急事態宣言前に配信していたものと比べても差は感じられず、順調である。
そもそも“リモートネタ”とは、主にZoomなどのテレビ会議アプリを利用して遠隔でネタを行うことを指す。
社会的距離(ソーシャルディスタンス)を確保したままネタが出来る点や、普段実際にライブに行けないような遠方に住んでいる視聴者でも自宅から見られるのが “リモートネタ”の利点である。
リモートの利点と外出自粛期間がうまく重なったため、芸人に対する“リモートネタ”の需要が高まったのだ。
”リモートネタ”が持つ課題
しかし、今後も“リモートネタ”が広く浸透していくとは限らない。
現段階では、“リモートネタ”の構造には大きく分けて2つの課題がある。
まず1つは、通信環境によりネタのクオリティが左右されてしまうということだ。
今回の東京03の配信では目立ったトラブルはなかったが、それぞれの通信環境が整っていないとタイムラグや回線の切断が発生してしまう。
そのようなことが起きてしまうと、お笑いにおいて大切な間(ま)やテンポが失われ、ネタの台本が良くてもパフォーマンスのクオリティが大きく下回ってしまう。
もう1つは、収益化が困難であるということ。
現状、YouTube生配信に対して視聴者が任意の金額を送るスーパーチャットや、メディアプラットフォーム「note」でのサポート機能といった投げ銭方式での収益は可能である。
しかしクオリティが保証されていないパフォーマンスに対価を支払わせるのはハードルが高く、事前にチケットを販売するなどの固定の収益がなく不安定になってしまう。
あの、独り言ですけどもー、
— 東京03飯塚 (@iizuka03) 2020年6月12日
リモート単独「隔たってるね。」100万回再生されればなんとかトントンだそうです。。
みんな!見てね! https://t.co/mRHE5OqQnP
東京03の飯塚悟志も6月12日に自身のTwitterにて「リモート単独「隔たってるね。」100万回再生されればなんとかトントンだそうです」と発言しており、収益化の難しさを語っている。
収益が見込めない限りは、芸人側も“リモートネタ”で公演を実行するのはためらってしまうため、現状リモートネタが浸透していくことは厳しいだろう。
将来的な”リモートネタ”の可能性
現在は緊急事態宣言が解除され、十分に距離を行ってコントをしたり、つい立を挟んで漫才をしたりと徐々に緊急事態宣言前の状況に戻りつつある。
劇場を借りて、ちゃんとした機材で有料無観客ライブも広く浸透している。
今後ライブハウスや劇場の営業が完全に再開すれば、“リモートネタ”に対する要が減少してしまうだろう。
ただ、今回の東京03のリモート単独では、オンライン上でのやり取りだけではなく、Zoomの機能である「画面共有」を使い“リモートネタ”ならではの仕掛けも取り入れ、劇場とオンラインの差別化を明確にした。
コロナウイルスの第2波、第3波が予想される中、現状の課題を克服すれば、新たな表現の場として通常のネタと“リモートネタ”の共存も可能になるのではないだろうか。
(文:つちへん)

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