*2020年5月に別サイトで公開していた記事を再掲載しています。
ぼる塾
最近は女性芸人の活躍が目立つようになってきた。
「THE W」の影響もあり阿佐ヶ谷姉妹や3時のヒロインがブレイクしたり、男女コンビの納言・薄幸やラランド・サーヤなど、バラエティ番組で徐々に頭角を現している。
その中でも、群を抜いて注目されている女性芸人がいる。
それがぼる塾だ。
プロフィール
ライブで発表したのですが、
— ぼる塾 田辺 (@chi0314ka) 2019年12月7日
重大発表とは!
4人でぼる塾になりました!!!
酒寄さんは育休でしばらくお休みです。3人での活動ですが、4人でYouTubeを始めます!
そして、13日ネタパレに出ます! pic.twitter.com/TbWGqpCy6v
まず初めに伝えておくと、ぼる塾はカルテット
吉本の公式ホームページは3人で映っているが、メンバーの1人は現在"育休中"で活動を制限している。
メンバー
散歩しに行こう!!ってはるちゃんに言ったら、『田辺さん疲れちゃいますよ!膝に不満、、、』って言ってた!
— ぼる塾 田辺 (@chi0314ka) 2020年2月25日
膝に負担って言いたかったのね、、、 pic.twitter.com/xMc8WAM2zk
きりやはるか
生年月日:1995年01月28日
出身地:東京都 江戸川区
漫才中でも収録中でもいつもヘラヘラ笑っている。
あんり
生年月日:1994年10月07日
出身地:東京都 江戸川区
父親が元暴走族、母親が元レディース、兄2人が元ヤンキーで、芸人を始めるまでは容姿をいじられたことはなかった。
パンプキンショートケーキの鈴木と親密。
田辺智加
生年月日:1983年10月18日
出身地:千葉県 市川市
「はーい」「まーね」などのギャグを持ち、ジャングルポケット斎藤慎二の「はーい」は田辺と共同開発したものである。
28歳まで渋谷ギャルをやっていた。大の亀梨和也ファン。
酒寄さんに聞いて欲しい話があったので2分程の音声を送ったら
— ぼる塾 田辺 (@chi0314ka) 2020年4月14日
お経?って言われたわ!
ウケるー。
はーい。 pic.twitter.com/VnpeUpB1eK
酒寄希望
生年月日:1988年4月16日
出身:東京
現在"育休中"
酒寄はぼる塾でバラエティ番組に出演する際は参加しておらず世間的には女性トリオのイメージが強いが、ぼる塾のYouTubeでは酒寄も度々参加している。
経歴
ぼる塾は女性カルテットという珍しいユニットだが、元々は別々の2組のコンビだった。
きりやとあんりが組んでいたコンビ『しんぼる』
田辺と酒寄が組んでいたコンビ『猫塾』
この2組が合体した形で『ぼる塾』が結成された。
結成のきっかけは昨年のM-1グランプリ2019。
元々合同ライブも行うほどの交流があった2組が、酒寄の産休をきっかけに即席トリオとしてM-1グランプリに出場した。
当時は即席だったためしんぼるとぼる塾の2組で出場し、しんぼるが準々決勝、ぼる塾が3回戦まで進出。
GYAOの予選動画が配信されるとお笑いファンを中心に話題となり、その後2019年12月にカルテットとして正式にぼる塾が結成された。
理想的なトリオ漫才
M-1の予選動画で初めてぼる塾のネタを見た時、あまりの面白さと斬新さに衝撃を受けた。
ぼる塾はバラエティ番組にも多く呼ばれているが、やはり評価されているきっかけは漫才にある。
あんり「私たちですね、小学校からの幼なじみのはるちゃんとあんりと、私と体重が同じの田辺さんです。」
田辺「はーい。」
きりや「私たちこんなに仲良しなんですけど、私とあんりは25歳で、田辺さんだけ36歳なんですよ」
田辺「はいでたー、すぐ若さアピールする女!!」
ぼる塾の定番のツカミなのだが、キャラクターをお客さんに分からせるツカミの本来の役割に加えこのツカミはもう一つの役割を果たしている。
このツカミでは
【きりや×あんりvs田辺】
【きりやvsあんり×田辺】
の両者と共通点を持つあんりを中心に2対1の構図を作っている。
この2対1の構図は漫才中ずっと行われているため、始めのツカミでそれをお客さんに印象付けることで漫才を見やすくしている。
それでいてネタの掛け合いも【きりや⇔あんり⇔田辺】と両サイド同士での会話がないためトリオのネタとして一番見やすい理想的な流れを作っている。
きりやがフリの役割をして、あんりがトスを上げて、田辺がオチを飾る。
ぼる塾のベースは【田辺のキャラを最大限に活かす】猫塾の漫才
ぼる塾の強みはしんぼるの漫才にあった【あんりの自虐、毒舌】
合体し人数が増えたことでネタが破綻するかと思いきや、お互いの短所を消しあって、長所のみを残した新たなシステムの漫才を作り上げた。
トゲのあるあんりの自虐と毒舌も、あんり自身のフォローや田辺のオチのエピソード、そして最後の「はーい」でオブラートに包んでいる。
全て自己完結させることでお客さんも気持ち良く見ることが出来る。
ぼる塾の漫才は【奇跡】に近いバランスで完成されているのだ。
あと、これはネタに関係ないが3人ともめちゃくちゃゲラ。
きりやは自分のセリフ以外でずっと笑っているが、あんりと田辺も気が緩むと笑ってしまい何も進行せずただ「女性3人が舞台上で笑っている」というただの幸せな時間がある。
あんりの才能
最近では『アメトーーク!』の【NEXT第7世代芸人】【鳥貴族芸人】や、『しゃべくり007』の【新世代の女性芸人特集】で世間知らズ西田、丸山礼、みほとけらと共に出演するなど有名番組に次々と出演している。
なぜ、ぼる塾は業界でそれだけ評価されているのだろうか?
もちろん、きりやのヘラヘラした感じや田辺の強烈なエピソードも理由の一つだがやはり【あんりの対応力】が一番の理由だろう。
普段の漫才ではツッコミとしての立ち位置だが、バラエティ番組ではツッコミと乙女を上手く使い分けている。
MCやパネラーからのイジりに対しては的確にツッコみ、普通の質問は素の乙女の部分で返す。
普通の返しは本来は何のボケでもないので面白くはないが、ツッコミやルックスとのギャップで相対的に笑いが生まれる。
ガンバレルーヤやおかずクラブのようにボケっぽく返すのも面白いが、ボケっぽく見えない、というより本当にボケではないあんりの返しも面白い。
今の時代にあっているのはぼる塾のような後者の芸人だろう。
さらにあんりの特筆すべきポイントはすぐにパッケージを作れることだ。
たとえば『アメトーーク!』の【NEXT第7世代芸人】に初登場した際は、先輩であるそいつどいつの松本竹馬と口喧嘩する場面が何度かあった。
『しゃべくり007』では世間知らズ西田と口喧嘩し、それを面白がったレギュラー陣(名倉を中心に)にも食って掛かった。
そいつどいつや世間知らズとは事務所や活動する劇場が同じのため関係性は出来上がっていたが、約1時間の放送の中で短く収められる"口喧嘩"というパッケージを作り上げるのはベテラン、中堅でもかなり難しいし、失敗することもある。
テレビ側も分かりやすく面白く何度も使える流れは一番重宝し、芸人側にとっても持ち味や特技といった情報が詰まった名刺的な役割を果たしてくれる。
そのおかげもあって、結果的に『しゃべくり007』では他3組がいる中、放送時間のうち7、8割はぼる塾がフィーチャーされていた。
新世代女性芸人
コンプライアンスが厳しくなった今、容姿を武器にしてきた女性芸人は厳しくなったかもしれない。
そんな中、新たな武器を引っさげてお笑い界に宣戦布告してきたぼる塾。
今後はよりテレビやラジオなどの露出が増えることが期待される。
さらに、現在は3人で活動しているがしばらくすれば酒寄も加わり4人で活動することになる。
すでに完成形に近いぼる塾がどんな進化を遂げるか楽しみだ。
(文:つちへん)