sora tob sakana
アイドルの中でも『楽曲』に強いこだわりを持つアイドルのことを"楽曲派アイドル"と呼ぶ。
その"楽曲派アイドル"として常に高い評価を受け、進化を続けているのがsora tob sakanaだ。
近年ではアニメのタイアップや音楽番組「熱波」(現在は放送終了)のアシスタント、NHK「シブヤノオト」の出演とメディア露出も増えてきている。
さらに4月26日放送の「関ジャム」のアイドル特集でMaison book girl(通称:ブクガ)やフィロソフィーのダンス(通称:フィロのス)らと共に"楽曲派アイドル"として紹介されるなど、さらに注目が高まる予想がされるsora tob sakana
今回はそんな彼女たちの魅力を紹介していこうと思う。
プロフィール
sora tob sakana(通称:オサカナ)は2014年に結成。
所属事務所はテアトルアカデミー、運営・制作は株式会社Zi:zooの「Flying Penguin Records」
2018年からレーベルをワーナー ブラザース ジャパンに移籍させている。
幾度かのメンバーチェンジの末しばらくは4人組で活動していたが、2019年5月に風間玲マライカの脱退後の現在は3人組として活動を続けている。
メンバー
名前:寺口 夏花(てらぐち なつか)
愛称:なっちゃん
メンバーカラー:赤
名前:神崎 風花(かんざき ふうか)
愛称:ふぅちゃん
メンバーカラー:緑
名前:山崎 愛(やまざき まな)
愛称:まなちゃん
メンバーカラー:ピンク
楽曲の魅力
メンバーのアイドルとしてのルックスの評価もさることながら、sora tob sakanaが評価されるのは【独自の世界観を纏った高度な楽曲】にある
アイドルとしては珍しくポストロック・マスロック・エレクトロニカを基調とした楽曲が特徴で、変拍子やトリッキーなビートを用いた複雑なリズムとエレクトロニカが醸し出す優美なメロディが真似できない独自の世界観を生み出している。
アイドルファンのみならず、アイドルのことをあまり知らない音楽ファンまで虜にするその中毒性の高さが"楽曲派アイドル"と呼ばれる所以だ。
この高度な楽曲を作っているプロデューサーが照井順政(ハイスイノナサ、siraph)という人物。
ハイスイノナサ"地下鉄の動態" (haisuinonasa"Dynamics of the Subway")
アイドルの持つ可愛らしさと自身のバンドで培った無機質なポストロックサウンドを上手く組み合わせ、唯一無二のアイドルソングに昇華させている。
「関ジャム」で紹介された「広告の街」の演奏動画。
演奏メンバー
- 照井順政(gt)
- 松川真也(gt)
- 照井敦政(ba)
- 鎌野愛(key)
- 森谷一貴(key)
- GOTO(dr)
また、照井順政はsora tob sakanaだけではなく私立恵比寿中学(「春の嵐」)やYURiKA(「鏡面の波」「Dive into the colors」)など、多くのアーティストにも楽曲提供をしており、2020年10月から放送予定のアニメ『呪術廻戦』では音楽も担当するなど幅広く活動している。
楽曲紹介
夜空を全部
アイドル業界に衝撃を与えた、激しい疾走感の溢れるロックサウンドの曲。
青春時代の少女の衝動が描かれている歌詞がメロディとマッチしている。
隙のない完璧な楽曲に隙だらけの不安定な歌声が重なることでアンバランスな不思議な魅力を生み出す。
この曲が収録された1stアルバム『sora tob sakana』はアイドル楽曲大賞2016のアルバム部門で1位を獲得した。
sora tob sakanaの楽曲の中でもトップクラスのスケール感でドラマチックな展開。
暗いイメージになりやすいジャンルではあるが、キーボードのメロディによって上手く調和されている。
この曲の1番の魅力は「緩急」だ。
始めは静かに始まるが、カウントが入り急加速すると、一気に最高潮に達成する。
基本は6拍子で進行していくのだが、ふとした瞬間に5拍子を入れてくる変拍子曲。かなりいやらしい。
MVもアイドルとしては異例の全編アニメーション作品。
ストーリー性を感じさせるMVが楽曲の良さを引き立てる。
New Stranger
sora tob sakana/New Stranger(Full)
イントロから楽曲派の魅力が全開。
アーケードゲームをテーマにしたアニメ『ハイスコアガール』のOPということもあり、曲中にもゲームの効果音を使用しているが全く邪魔にならず、逆にうまく活かされている。
アニメの内容をなぞった歌詞にテンポのいいキャッチーなメロディが続く。
いい意味で「アニソンっぽくないアニソン」が表現されている。
アイドル楽曲大賞2018ではメジャーアイドル楽曲部門で1位を獲得した。
ささやかな祝祭
TVアニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅡ』のエンディングテーマに起用されたこの楽曲は、これまでのsora tob sakanaには珍しいポップチューン。
ジャズを感じさせるアレンジがワクワク感を煽る楽しい雰囲気を作り上げる。
手拍子やコールアンドレスポンスが起きたりと、ライブでの一体感を生む曲としても一役買っている。
「New Stranger」に引き続きTVアニメ『ハイスコアガールⅡ』のOPに起用された「flash」
エモーショナルなサウンドに磨きをかけ、歌詞も加速する恋心がすり抜けていく切なさが表現されていて、サビでグッと引き込まれる。
彼女たちの歌もそれぞれの個性が発揮されたイノセントな歌声で、鮮やかに聴こえるユニゾン(複数人で同じ旋律を唄う)も注目すべきポイントである。
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オサカナの武器
sora tob sakanaの最大の武器は【作りこまれた世界観】だ。
ポストロックのダークな雰囲気とエレクトロニカの優美さが楽曲に奥行きを与え、壮大なスケールの世界観を展開させている。
ただsora tob sakanaの本当の強みが生まれるのはライブパフォーマンスにある。
sora tob sakanaのライブは少し変わっていて、音響や照明に加え「VJ」という聞き慣れないスタッフも参加している。
「VJ」とはヴィジュアルジョッキーの略で、スクリーンに映像を映し視覚的な演出を行う役割。
「DJ」の映像版と言えば想像しやすいだろう。
鋭角な日常 / sora tob sakana band set(2020.02.08 主催ライブ『天体の音楽会 Vol.3』)
sora tob sakanaはVJを迎えライブに視覚的な演出を加えている。
生バンドもsora tob sakanaのワンマンライブの醍醐味で、その場で生まれる音と照明とVJが織りなす視覚的な表現は、楽曲本来が持つ幻想的な世界観をより助長させてくれる。
ギャップ
楽曲では幻想的な世界観で魅せてくれるが、もちろん歌っているのは10代の女の子たち。
一歩活動を離れると純粋無垢な女の子になる。
文化放送で放送されていた冠ラジオ番組「sora tob sakanaの飛ばなきゃ損損!!」やライブのMCでは、基本的にメンバー同士和気あいあいとしていてアイドルらしさが垣間見える。
しかし、ひとたび歌いだすとキレのあるダンスと三者三様の個性豊かな歌声で観客を魅了する。
その幻想的な世界観とアイドルのあどけなさとの間に生まれる【ギャップ】もsora tob sakanaの武器の一つである。
まとめ
"楽曲派アイドル"sora tob sakanaの魅力は伝わっただろうか?
この記事で興味が湧いた人は、実際に曲を聴いたりライブに足を運んでいただきたい。
より彼女たちの魅力に触れられることが出来るだろう。
"楽曲派アイドル"として成長してきたsora tob sakana
結成当時は平均年齢13歳だった彼女たちも徐々に大人へと成長してきている。
表現の幅が広がっていく彼女たちのこれからもぜひ注目だ。
もっとビッグなアーティストへと羽ばたいてほしい
(文:つちへん)
追記:5月22日
sora tob sakanaが9月6日(日)の日本青年館で開催するワンマンライブを持って解散することが発表された。
【お知らせ】
— sora tob sakana (@soratobsakana) May 22, 2020
sora tob sakanaは9月6日(日)に日本青年館で開催するワンマンライブをもって解散致します。
約6年間、たくさんの暖かい応援を頂き本当にありがとうございました。
メンバーコメントや残りの活動など、詳細はオフィシャルサイトをご覧下さい。https://t.co/8VtSWw7A00#オサカナ pic.twitter.com/CZppxEpuVg
今夏には最後のCDリリース、6月からは『sora tob sakana LAST LIVE TOUR』も開催される予定なので、sora tob sakanaとしての彼女たちの最後を見届けてほしい。
追記:5月28日
先日、解散を発表したsora tob sakanaがラストアルバム「deep blue」を8月に発売することを発表した。解散理由は明らかになっていない。
過去の4人体制時のアルバムの収録曲9曲を現体制で再収録、さらに照井順政書き下ろしの未発表曲「信号」「untie」2曲を含めた全11曲。
Blu-ray付初回限定盤、DVD付初回限定盤、通常版の3形態が用意されており、その他にもショップ限定の特典も予定されているので詳しいことは公式ホームページを見てほしい。