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sora tob sakana、結成から解散までの物語を作り上げた"4つのキーワード"

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山崎愛(sora tob sakana)(@mana_sakana)がシェアした投稿 -

 グループ名:sora tob sakana (通称:オサカナ)

個人名(写真左→右)

  • 山崎愛
  • 寺口夏花
  • 神崎風花

 結成:2014年

所属事務所:テアトルアカデミー

レーベル:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

sora tob sakana

9月6日のライブを持って解散するsora tob sakana

”楽曲派アイドル”として地位を確立し、有名アイドルフェスへの出演、メジャーデビューしてからはアニメやゲームの主題歌、テレビ出演など活動は多岐にわたっていた。

アイドルに興味の無い層にもその名前は拡がり、「アイドル」というジャンルにおいても大きな貢献をしたと思う。

自分もsora tob sakanaがきっかけでアイドルにのめり込んだ一人で、「関ジャム」で取り上げられた時にはこのブログで紹介記事を書いたこともある。

 

www.musicsatand.com

 sora tob sakanaはそれぐらい知ってほしい、聴いてほしいアイドルだった。

その後、解散することが発表され、最後のアルバム「deep blue」が発売。

deep blue

deep blue

「deep blue」は新曲の『信号』『untie』以外、インディーズ時代(4人体制)に作られた楽曲のベスト盤(再録)といった感じで、解散までの期間は3人体制の曲を含め過去の曲を聴くことが多かった。

その中で一つ気づいたことがある。

紹介記事の中でも書いているのだが、sora tob sakanaの魅力は【作りこまれた世界観】だ。

その世界観はあくまでも、「高いクオリティの楽曲とそれを最大限に活かすライブパフォーマンス」だと考えていた。

しかし、歌詞を読みこんでいくうちに、sora tob sakanaの世界観を形作るのはそれだけではないことに気が付いた。

デビューしてから解散まで、描き続けた物語がある。

 

4つのキーワード

その物語を楽曲から作り上げていったのが、音楽プロデューサーの照井順政だ。

ハイスイノナサでポストロック、エレクトロニカを基調とした楽曲を作ってきた照井がsora tob sakanaの楽曲のほとんどを手掛けている。

そんな照井が書くsora tob sakanaの歌詞には頻繫に登場する言葉がある。

この4つのキーワードだ。

インスト曲+「DASH!!!!」を除く全47曲でそれぞれ、

空...37回(*1)

星...43回(*2)

夜...50回

海...23回

も登場している。【オンガクノリバ調べ】

(*1.「空気」「空想」は除外)

(*2.「シューティングスターランデブー」も含む)

この4つのキーワードから、sora tob sakanaの物語は出来上がっている。

1.空

グループ名にも含まれている「空」

そもそも、sora tob sakanaのグループ名の由来は

「未完成が完成に近づけるように、空に飛び立っていけるように、一歩ずつ空を目指し成長して行く」

とされており、結成時から「空」は憧れの象徴とされている。

「空」と関連する「風」や「飛ぶ」という言葉も多く使われていて、目標へと向かう姿勢が描かれている。

しかし、歌詞に登場する「空」が全て憧れの意味合いで使われているわけではない。

 

『魔法の言葉』は「あふれだす」

『ribbbon』は「消える」

『Summer plan』は「溶かす」

『燃えない呪文』は「敷き詰める」(作詞:君島大空)

このように、sora tob sakanaの楽曲では、「空」の後には「飛ぶ」以外の動詞が使われていることが多い。

曲によって対象のものは違うが、どの曲も主人公の気持ちを反映させているものとして「空」が使われている。

つまり、「空」は憧れの象徴でありながら最も近い自分自身の象徴でもあるのだ。

一番遠いもの一番近いものの象徴として「空」が使われている。

2.星

「星」も「空」と同じく憧れの象徴となっている。

月面ライブが目標であったり、定期ライブは「月面の遊覧船」、バンドセットでの大型ライブは「天体の音楽会」と楽曲だけではなく、グループのコンセプトから「星」にこだわっている。

「星」は大きく分けて2種類の使い方がある。

1つは「光」という意味での使い方。

先ほども紹介したように、sora tob sakana「夜」のテーマが多い。

「夜」は一見すると暗いイメージになるが、そこに明るい言葉を当て込むと対比でポジティブな印象になる。

ということもあり、「灯り」や「光」といった直接的な単語もよく出てくるのだが、その中でも「夜」のイメージにあった「星」が多く使われている。

「星空」や「星の海」など別の単語と組み合わせることで、楽曲のエレクトロニカの幻想的な世界観にも合い、煌びやかな世界が表現できるのも大きな理由だ。

もう1つは「儚い」という意味での使い方。

『夜空を全部』の歌詞、はたまた『シューティングスター・ランデブー』や『流星の行方』ではタイトルにまでなっている「流星」

この言葉には煌びやかな世界、いずれ失われてしまう儚さの2面性があり、アイドルとしての人生を投影することができる。

今回、解散を発表したことで、より一層歌詞における「星」の意味が強まった。

 

3.夜

sora tob sakana「夜」のイメージがとても強い。

そもそも楽曲がダークな雰囲気になりやすいポストロック調ということもあって、世界観を全体で統一するために使われている。

そして注目すべき点は、直近で発表された曲ではかなり多用されている。

アルバム「World Fragment Tour」
・knock!knock!
・ありふれた群青
・シューティングスター・ランデブー
・World Fragment
・WALK

シングル「ささやかな祝祭」
・ささやかな祝祭
・乱反射の季節
・ブルー、イエロー、オレンジ、グリーン

配信シングル「流星の行方」
・流星の行方

シングル「flash
・パレードがはじまる

この10曲だけで、全体の約半分の24回も「夜」が使われている。

 あの日の私と交わす別れのメロディが
白く消えて 夜が明ける
sora tob sakana『夜間飛行』より引用

ここまで「夜」を意識させたのは、未来への夜明けを暗示させるためではないだろうか。

4.海

sora tob sakanaの原点を表すこの言葉。

「海」は他のキーワードと比べ比較的に回数は少ないが、その分重要な意味を持つ。

さらに、ライブの始まり(SE)も『海に纏わる言葉』『whale song』と海。

つまり「海」からsora tob sakanaの物語が始まっていることがわかる。

この「海」が彼女たちの物語の最初であり最後となる。

その物語の最後を飾るのがラストアルバム「deep blue」の最後に収録されている曲『untie』だ。

 

「untie」

youtu.be

『untie』では、紹介した4つのキーワードが全て含まれている。

海を眺めている
星の夜 砂の上
波は産まれたばかり
理由もなく 好きな形

sora tob sakana『untie』より引用

今までは、「空」や「星」をテーマにしてきたが、最後は「砂の上」つまり「海」にいることが分かる。

この場面は、sora tob sakanaの結成当初の様子が表されていると感じた。

波のようにそれぞれの個性がぶつかって産まれた、「波」はsora tob sakanaのことを指している。

偶然重なって
描かれた 星の様に
長い帯が解けて
遠い空 散らばっていく

sora tob sakana『untie』より引用

この場面では、グループとして解散する様子。

元々はアイドル志望ではなかった女の子たちが、ここまでやり遂げた意味での「偶然重なって」が響いてくる。

『untie』=ほどける、解放する、自由になる

別々の世界へと進んでいく。

海を眺めている
星の夜 描かれた
君は産まれたばかり
意味もなく 好きな形

sora tob sakana『untie』より引用

最初の歌詞と似ているが、これからの彼女たちの人生を表している。

星の夜が描かれ”た”と過去形になっているのは、sora tob sakanaとしての活動を終えたことを伝えている。

「波」ではなく「君」になっているのは、sora tob sakanaとしてではなく一人の人間として新たな活動を送る姿を表している。

星が降るようだ
星が降るように
君が生きている

sora tob sakana『untie』より引用

星が降る=流星

過去の楽曲でも度々使われた「儚さ」を感じさせる言葉。

これからの人生が輝くようにというメッセージが込められているのだろう。

そして、最後のアウトロ。

MVはsora tob sakanaのライブのVJを担当してきたTONTONが監督を務めている。

最小限の音と輪唱、幻想的なクライマックスに「光」だけで表現されたMV。

この綺麗で儚い物語の終わりを演出できるのは、これまでのsora tob sakanaが積み上げてきたもの全てがあるからこその終わり方だろう。

夜空に散らばる光のかけら

sora tob sakana『夜間飛行』より引用

宇宙を結ぶリボン

sora tob sakanaribbon』より引用

『海に纏わる言葉』から彼女たちの物語が始まり、『夜間飛行』でバラバラだった光が『ribbon』で結ばれる。

そして『untie』でほどけ、海へと帰っていく。

空のような鮮やかな青ではなく、深い青へと...

deep blue

 

untie

untie

  • provided courtesy of iTunes

 

 

ラストライブ

9月6日に行われるラストライブにて、sora tob sakanaの物語が完結する。

ライブのタイトルは「untie」

アルバムの最後の曲と同じタイトルを付けている。

 『unite』=組織する

たった一文字入れ替えただけで、真逆の意味になってしまう。

そんなちょっとしたすれ違いで崩れてしまう物語。

sora tob sakana」の最後を見届けたい。

最後に『WALK』の歌詞の一節を紹介して、この記事を締めたいと思う。

雲の上で星を掴み

海の底で月を見たり

あなたにいつか話をしよう

きっとまた出会えるから

sora tob sakana『WALK』より引用

(文:つちへん) 


 【記事内での歌詞の引用】

 

『夜間飛行』

アーティスト名:sora tob sakana

作詞・作曲:照井順政

 

ribbon

アーティスト名:sora tob sakana

作詞・作曲:照井順政

 

『WALK』

アーティスト名:sora tob sakana

作詞・作曲:照井順政

 

『untie』

アーティスト名:sora tob sakana

作詞・作曲:照井順政

 

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