プロフィール
グループ名:ukka (旧グループ名:桜エビ~ず)
メンバー(写真左→右)
水春
村星 りじゅ
茜 空
芹澤 もあ
川瀬 あやめ
桜井 美里
事務所:スターダスト・プロモーション
「灼熱とアイスクリーム」
ukkaは2018年6月から「12ヶ月連続リリース」というかなり長期スパンの企画をスタートさせた。毎月新曲をデジタル配信にてリリースするというもの。
自ら作詞作曲をやるわけではないが、提供でも毎月のリリースはかなりしんどい。
彼女たちは無事にそれをやり遂げた。この「12ヶ月連続リリース」で配信された12曲+1曲の全13曲が2ndアルバム「octave」にまとめられた。
「12ヶ月連続リリース」で配信された曲の中にはHave a Nice Day!の浅見北斗やアカシックの理姫、ONIGAWARAなど様々なアーティストから楽曲提供を受けていて、どれもukkaの代表曲と言っていいほどの名曲が揃っている。
ある日、その名曲揃いのアルバムを電車の中で聴いている時だった。アホまるだしで「いい曲だなぁ~」とぼんやりしていると、ある曲がかかった途端、耳がファーーっとした。雷に打たれるぐらいの衝撃とかではなく。ファーーっとした。
それがアルバムの4曲目に収録されている2018年7月配信の「灼熱とアイスクリーム」という楽曲だった。
メロディもさることながら…
ファーーーとしただろうか?
まあ感情の表現は人それぞれではあるが、ギターのカッティングが耳に残る、夏を感じさせるメロディになっている。スッと耳から入って胸に溶けていっていくようなメンバーの伸びやかな声とも見事に合っている。
この曲を作曲したのはピオーネという作曲家。「オスグッド・コミュニケーション」や「お年頃distance」と桜エビ~ずのころから楽曲提供を行っている人物だ。
ただこのピオーネという作曲家、これだけ素敵な楽曲を作っているのに、先ほど挙げた2曲と「灼熱とアイスクリーム」の3曲しか作っておらず、その上調べても一切出てこない謎の人物でもあるのだ。
このご時世に何も引っかからないなんて逆に凄い。
またピオーネは作曲専門で作詞は別の作詞家に依頼をしている。
「灼熱とアイスクリーム」はvivid undressのボーカルkillaが作詞を担当していて、全体的に爽やかな歌詞だ。その中でも特にkillaが作詞をした「灼熱とアイスクリーム」の中で衝撃を受けた一節の歌詞がある。
『灼熱とアイスクリーム』の歌詞に込められた意味を考察していく。
歌詞
「灼熱とアイスクリーム」
アーティスト名:桜エビ~ず
作詞:KIILA (vivid undress)
作曲:ピオーネ
(Baby, give me summer session
Kiss me summer session)
灼熱とアイスクリーム
-25度の退屈を脱ぎ捨てて
加速する太陽と入道雲を見てた
(Ah~)
夏のせいで早く溶けてしまうアイスクリーム
(Nee~)
“おいしい”と“好き”は似てるから恋みたいだ
まさか…ドキドキしてる?
SUMMER DAYS 内緒にしてる
バレたくないんだけどバレたい恋心
君は夏の魔法?
溶けちゃう前に一口だけ…
同じ服を着ても同じ場所にいても
いつもと違うのはなんだかんだ全部君のせいだ
キャラメル・バニラ・チョコレート・ストロベリー
君はどの味が好きですか?
どんな映画が好きですか?
どんな音楽が好きですか?
どんな人がタイプですか?
私じゃダメですか?
あのね、ドキドキしてる
サマーデイズ 内緒にしてる
バレたくないんだけどバレたい恋心
ジリジリと焦がす
この胸が暴走してる
ねぇ、君ってね、なんで君なんですか?
あぁ~、、、君になって私に恋したい
SUMMER DAYS 内緒にしてる
バレたくないんだけどバレたい恋心
やっぱり夏の魔法?
溶けちゃう前に一口だけ…!
キャラメル・バニラ・チョコレート・ストロベリー
君はどんな味が好きですか?
どんな映画が好きですか?
どんな音楽が好きですか?
どんな人がタイプですか?
私じゃだめですか?
(Baby, Give me summer sessoin
Kiss me summer session)
灼熱とアイスクリーム
『灼熱とアイスクリーム』=【乙女の複雑な恋心】
この曲は【乙女のひと夏の恋】がテーマの1曲となっていると感じた。
そのことを念頭に、順序立てて歌詞の考察をしていく。
(Baby give me summer session)
(Kiss me summer session)
まずはおしゃれな英語詞「夏に私とセッションしませんか」的なことを言っている。
「積極的だな~」とお思いのあなた。実はこの積極性がこの「灼熱とアイスクリーム」では大事になってくるのだ。
その後、「♪灼熱とアイスクリーム」というタイトルコールが入り、Aメロへとつながっていく。
―25度の退屈を脱ぎ捨てて
加速する太陽と入道雲を見てた
この時点で、この曲の主人公である恋をする女の子が『アイスクリーム』と例えられている。
では、女の子が『アイスクリーム』ということは、好きな男の子は『灼熱』の象徴である『太陽』なのだろうか?
夏のせいで早く溶けてしまうアイスクリーム
おいしい と 好き は似てるから恋みたいだ
"「おいしい」と「好き」は似てるから恋みたいだ"
この表現が素敵すぎる。この時点ではまだ自分が恋をしていることに気づいていない。なにやってんだよ、早く気づけよ。頼む、気づいてくれ…
まさか
ドキドキ
してる
気づいたーー!!ここで初めて、自分が恋をしていることに気づくのだ。
ここでAメロの歌詞に戻ってほしい。「太陽」という表現は彼のことも表しているが、実は自らの恋心も表現している。
「加速する太陽」は自らの熱い恋心
「入道雲」は上手く伝わらないもどかしい気持ちを表している。
この曲は自らの恋心がアイスクリームにように溶けやすく、灼熱のように燃え上がる。そういった意味で「灼熱とアイスクリーム」というタイトルになったのではないだろうか。
サビに入る。
Summer days 内緒にしてる
バレたくないんだけど バレたい恋心
君は夏の魔法?
溶けちゃう前に一口だけ…
複雑な乙女心を端的に表現した歌詞。
「私の恋心が溶けちゃう前に一回だけでもいいから…」
ここではまだ控えめな様子が窺える。
同じ服を着ても 同じ場所にいても
いつもと違うのは なんだかんだ全部 君のせいだ
恋をしちゃうとこうなっちゃいますよね~
ここまでは自分が恋をしたことに気づいた段階で、まだ控えめ。
言うなれば【アイスクリームパート】だ。
ここから一気に恋心が加速する。
キャラメル バニラ チョコレート ストロベリー
君はどの味が好きですか?
どんな映画が好きですか?
どんな音楽が好きですか?
どんな人がタイプですか?
私じゃダメですか?
【灼熱パート】に突入した。
怒涛の質問攻め。ここで注目したいのは冒頭の「キャラメル バニラ チョコレート ストロベリー」の部分。これはいわゆるタイプのことを表している。次の「君はどの味が好きですか?」は「どんな人がタイプですか?」に通ずる部分があると思う。冒頭と最後に同じ質問をぶつけるほど気になっているのだ。
そしてトドメの「私じゃダメですか?」
言われたーーーーーーーーーーーーーーーーい
先ほどまでとは一転、ここに来て急に積極性が増している。
あのね
ドキドキ
してる
1番では「まさか」だった部分が「あのね」に変わり、自分の中で留めていた思いが漏れ出てしまっている。たった3文字で、気持ちの変化を正確に捉えている。
Summer days 内緒にしてる
バレたくないんだけど バレたい恋心
ジリジリと焦がす
この胸が暴走している
後半2行ではっきりと【灼熱パート】を表している。
ねぇ 君ってね 何で君なんですか?
あぁ~、、、 君になって 私に恋したい
ここで、伝えたい気持ちともどかしい気持ちが混ざる、【灼熱とアイスクリームパート】になる。
そしてここでの一節。
「君になって、私に恋したい」
今までの人生で聴いたことのない、あまりにも綺麗な表現に僕の心が震えたのが分かった。
非現実的な表現を用いて現実を鮮明に想起させる綺麗な文章だ
Summer days 内緒にしてる
バレたくないんだけど バレたい恋心
やっぱり夏の魔法?
溶けちゃう前に一口だけ…!
1番と同じサビ。しかし、これは歌詞カードや歌詞サイトで見ないと分からないのだが、最後に「!」が追加されている。1番は控えめだったが、「!」が付いたことで自信の表れている。これにより、この後に来る質問攻めゾーンの「私じゃダメですか?」の意味合いが強くなってくる。
「歌」以外の細かいこだわりも欠かさない。
アイドルソングを侮ることなかれ
「灼熱とアイスクリーム」という対極のタイトルが、【乙女のひと夏の恋】を見事に表している。
アイドルソングはライブでの盛り上がりやコールの入れやすさももちろん大事だ。
だがアイドルソングの歌詞もぜひ注目して聴いてほしい。
3、4分間に詰め込まれた物語も読み解いてみてはどうだろうか?
(文:つちへん)
【記事内での歌詞の引用】
「灼熱とアイスクリーム」
アーティスト名:桜エビ~ず
作詞:KIILA (vivid undress)
作曲:ピオーネ